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2023年11月24日金曜日

翔はどこへ行く

斉藤翔(仮名)は誰もが認めるマイホームパパである。MARCHの理系の修士を卒業し、新卒で外資系製薬企業に入社、MRとしてその1社で22年の歳月が流れた。すでに40代半ば過ぎである。




その会社で出会った女性MRと社内結婚。3人の子宝に恵まれた。奥さんは早期退職の後、CSOでMRとして尚も就業中である。

本人の年収は大体1000万円、奥さんも年収700万円を超え、尚且つ早期退職時の割増退職金もあり、世帯の収入や資産は十分である。人気エリアのマンションも購入済みで、3人の子供の将来の学費も大体目処がついている状況だ。

ある意味成功者としての道を辿ってはいるものの、新卒1社で22年、製品は花粉症や糖尿病などの循環器領域、いわゆるプライマリがメインの部署である。特段、昇進昇格するタイプでもなく、同期に比べれば部下もいなければ、大学病院を持ったわけでもなければ、まあ、出世はしていないタイプである。

このまま続けても全く問題はないものの、すでにとてつもないマンネリの苦しみの波を今までに幾度となく乗り越えている。

意を決して転職活動に踏み切った。

プライマリ、1社、40代後半。大学担当経験なし、部下なし。

このプロフィールはMRの転職市場としては結構きつい。年齢や経験領域などがきついのだ。そんなことは、知ってはいるものの、かといって、もはやそのまま残る選択肢は、斉藤翔にとってはとても辛いものになるのである。贅沢な悩みといえば贅沢かもしれないが、かといって、それも人それぞれ、悩みといえば悩みなのである。

転職活動をしてエージェントと話すと、やはり全国勤務OKなことが前提となることを悟った。子供の学校や奥さんの仕事もあるので、もし全国となれば、単身で行くことになる。それもこの業界で生きてきた斉藤にとっては、織り込み済みのこと。全国行きOKを決意した。

更なるハードルは、今までのキャリアと年齢である。プライマリーのみ。40代後半。最近のメーカー転職は免疫、オンコロジー、オーファンなど専門領域ばかりで、昔あったような、MRのプライマリでの転職案件はほとんど無い。当然、領域経験者が求められるのだ。領域未経験でも若手ならまだ行ける可能性もあるが、年齢的にもきつい。

エージェントは試しにCSOはどうか?と勧められた。ただ、1PJの後には、希望によってCSO内のプロジェクトマネージャーや採用担当などなど、MR以外の職種にも挑戦できて、今よりはやり甲斐もあるという話だ。50代をやり甲斐のある仕事で過ごせることは、斉藤翔にとっては魅力的なことではある。

子供の年齢も、1番上が大学生だが、歳の離れた末っ子がいて、まだ就学前とのこと。エージェントは、ご家族と一緒の方が良いのではないか?と提案する。

考えてみれば、学生時代を含め、一人暮らしの経験は無かった。

気持ちもだいぶそのCSOに傾き、面接も受け始め、オファーまで漕ぎ着けた。なんと、そのオファーがCSOとしてはかなり破格であった。1000万円には届かないが、かなりそれに近い。CSOのアベレージを遥かに超える金額でのオファーだったのだ。しかも自宅からのエリアで、転居もしなくて良いのだ。しかも正社員。

CSOといえど、正社員であれば、基本的にはずっと働けることになるだろう。

そんな矢先に、斉藤翔を知る他社メーカーに所属するMRから連絡があり、そのメーカーで社員紹介で入社できるかもしれないという話が舞い込んできた。ただし、勤務地は全国である。どこになるかは、わからない。

予想される給与も、今と同じは望めず、すでに出ているCSOの破格オファーよりも少し良いか、下手したらそれよりも下がる可能性もある。

単身赴任になれば、社宅はあるけど、持ち出しも多くなる。

さあ、それでもやっぱりメーカーか、はたまた正社員CSOか。斉藤翔の進路やいかに。。

きっといつかにつづく

2023年11月23日木曜日

国内老舗製薬企業の若手MRへ

CSOに対してメーカーという構図がありますね。大体みんなメーカーに行きたいということになります。それは当然と言えば当然。まず、給与が違う、条件、待遇が違う。それにつきますね。本当にそれに尽きるのです。
よく、PJが安定していないとか、PJ後にまた転職活動をしなければならなくなるから、という理由もあります。まあ、それはお金の次の理由かと思います。

20代、30代前半の人にとっては、今後20年、30年と業界で働くことになるので、それを念頭に置かなければなりません。

よく、MRの転職年齢限界が35歳みたいなのがありましたが、それは昔の話です。なぜなら、昔は花粉症、糖尿病、胃の薬、コレステロールの薬などなど、プライマリ領域でも転職できたからです。

昨今のホットな転職としては、バイオベンチャー、希少疾病、免疫、オンコロジーという感じで、ていうか、それしか出てこないので、年齢は、40代でも全然行けるようになりました。専門領域なので、ある程度経験している方が良いです。もちろん、20代、30代の若い人は歓迎だれると思います。

で、本当に免疫とか、オンコロジーなどの領域の経験がなくて、今後もそういう領域を経験する見込みが無さそうな若い人は、CSOの領域未経験でも歓迎の、専門領域PJ行った方が良いです。

まあこれは、でも、賭けですよね。それに賭けるかどうか、それは自分次第になります。

ですけど、もう、10年も20年も前の薬をずっと扱っている日本の老舗メーカーありますよね。説明会と言っても新しい話題もデータもありませんから、同じ内容について手を替え品を替え、なんとか騙し騙し説明会のコンテンツを作るのです。

そんな、どーでも良いと言ったら言い過ぎですけど、特段重要でもない薬のために時間を割くドクターも大変です。お弁当が出るから聞くようなもんですよね。

別にそういう老舗のメーカーが悪いというわけではありませんが、若手で、この先30年くらいキャリアがあるという方々にとっては、さらに、アグレッシブな方にとっては、転職が最適です。

そのアグレッシブさ、英語ならアグレッシブネスも多分ですけど、20代が限度です。新卒老舗メーカーでアラサーともなりますと、まだまだ若いにも関わらず、楽な選択肢を選びがちです。

確かに、ウチの会社は新薬なんかない。今後も出ない。ただ、創業以来、今までうん十年も続いているではないか? おそらく、このまま今後も続くだろう。仕事も、周りの人々にも慣れているし、自分はこのままで良いのではないだろうか?

みたいなアイデアに支配され始めます。悪いことではありませんが、ある意味怖いです。5年や10年は、まさに、あっという間に過ぎていくからです。

この際、コントラクトMRで専門領域PJ、そこまで専門と言わないまでも、せめて外資とか国内大手の新薬プロジェクトへの転職をお勧めします。なぜなら、CSOにとっては、国内老舗企業のMRであっても、若手ならウェルカムなのですから。